支配的な関係から離れたあと、私は長いあいだ自分を責める気持ちに苦しんでいました。
「どうして、あんな終わり方になってしまったのだろう」
「もっと穏やかに離れる方法があったのではないか…」
あの瞬間に戻れるならやり直したいと思う気持ちが、何度も何度も押し寄せました。
けれど、時間が経ち、たくさんの本を読み、カウンセラーさんにも話を聞いてもらう中で、ゆっくりと理解できたことがあります。
穏やかに離れることは構造として不可能だった
ということです。
今回は、その理由について、心理学の視点から書こうと思います。
📖「どうにもできない状況だった」と言える理由
(※私は専門家ではありませんが、調べた範囲で参考になった内容を紹介します)
① 支配する側は、相手の「平和な離脱」を許さないことが多い
心理学では、強い支配・宗教的コントロール・DV・虐待などの関係では、
支配する側は、離れるという相手の選択を敗北として扱う
という説明があります。
そのため、離れようとすると
- 否定
- 罪悪感の刺激
- 怒りや脅し
- 「あなたが悪い」と攻撃する
- 人前での批判
- 無視や距離の操作
などを行いやすいのだそうです。
つまり、
自分がどんなに丁寧で誠実でも、相手が平和的な終わり方を選ばないため、それは実現しない
ということです。
私の努力不足ではなかったのです。
② 「無傷で終わる」ことは、支配関係ではほとんど不可能
心理学の本で、このように説明されているものがありました。
支配的な関係から離れるときには、必ず揺れと痛みが伴う。無傷で終わる方法は、残念ながら存在しない。
これは、構造的な「特徴」のようなものだそうです。
- 離れる → 支配の力が弱まると認識する
- 支配者は「力を失う」恐怖を感じる
- 攻撃し、元に戻そうとする
- 結果、離れる瞬間は必ず荒れる
この流れは、支配的な関係から離れる際の典型的なプロセスとして、多くの専門家が指摘しています。
③ 「理想的な別れ方」には双方の協力が必要
関係の終わりには、最低でも「A側・B側の両方が同意すること」が必要です。
けれど、支配的な関係では、相手が「協力」してくれません。
支配者は、
- 相手の意思を尊重しない
- 相手の感情を無視する
- 相手の決断を受け入れない
このような態度をとりがちです。
そんな中で「理想的な終わり方」なんて、どうやって選べるでしょうか。
④ 心はもう限界で、判断力が落ちていた
カウンセリングでは、
「極度のストレス環境では、判断力が一時的に弱まる」
という説明を聞いたことがあります。
これは、脳の前頭前野が疲弊し、「冷静に判断する能力」が一時的に弱くなるためです。
そんな状態の中で、穏やかな対処などできるはずがありません。むしろ、あの状態で離れられただけでも、すごいことだったと今は思います。
⑤ 「終わり方が悪かったから私が悪い」という誤解
あとになって、「終わり方」ばかりを見て、自分を責めてしまう人は多いそうです。
でも—
終わり方の綺麗さと、自分自身の正しさは、まったく関係がありません。
むしろ、穏やかに離れることができなかったという事実は、
- 追い込まれた証
- 支配の強さの表れ
- 相手の問題の露呈
であることのほうが多いそうです。
終わりが荒れたのは、自分の性格のせいでも、判断ミスでもなく、「関係の構造」の問題でした。
私はそう理解したとき、張り詰めていた心がほどけたのを感じました。
✨ 最後に
支配的な関係を離れたとき、私はすでに精一杯の力を振り絞っていました。優しさも誠実さも、耐える力も、すべて使い果たしたうえでの決断でした。
もし私のように、
「あんな終わり方じゃなければ…」
と、自分を責めてしまうという方がいましたら、思い出してほしいです。
あなたには、あの場面を完璧に終わらせる選択肢なんて残されていませんでした。
自分を責める心の声が、いつか消えてゆきますように。
📚参考図書
「幸せになるには親を捨てるしかなかった」
シェリー・キャンベル著
私自身が、支配的な関係から離れたあと、強い罪悪感に苦しんでいた時に読み、支えられた一冊です。
タイトルは少し強い印象がありますが、
本書が伝えているのは「断絶を勧めること」ではなく、「自分の心を守るための境界線」についてでした。
支配的な関係から離れたあとの罪悪感について、詳しく知りたい方におすすめの本です。
