トラウマからの回復に役立ったこと

優しく揺れるキャンドルの灯

私自身の経験では、トラウマからの回復は、
右肩上がりの波を描く形でした。

良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、
でも全体的には良くなっていっているような。

また、回復には段階があり、
その時々によって、必要なことやできることが違いました。

今回は、トラウマからの回復に役立ったことを、ひとりの当事者として書き残しておこうと思います。

Step1. 言葉にする

私が回復のいちばん最初の段階で必要だったのは、自分の心や体に起きていることを、そのまま言葉にすることでした。

少しずつ、カウンセラーさんに話したり、日記に書いたりしながら、

  • 過去にどんなことがあったのか、
  • その時どんなふうに感じたのか、
  • 今はどう考え、どう感じているか
  • 何がつらかったのか
  • 何が怖かったのか

など、心にあることを言葉にして外に出していきました。
最初は、どう表現したら良いのか分からず、言葉が見つからないこともたくさんありました。

考えてみると、それまでの人生で、誰かに自分のことを知ってもらおうと思ったことがあまり無かったことに気づきました。

それでも少しずつ、
言葉にできることから始めていきました。

時には涙を流しながら言葉にすることもありました。

「私はこんな大変なことを経験したんだ」
「こんな辛さを確かに感じているんだ」

そうやって自分自身で認識し直し、
言葉にすることが最初の一歩でした。

Step2. 知識を得る

少しずつ言葉にできるようになってきたあと、
私にとって大きかったのは、知識を得ることでした。

その頃の私は、自分がフラッシュバックを起こしていることも、毎晩見る悪夢がトラウマの再体験症状だということも知りませんでした。

ただ苦しくて、心の中が混乱している状態でした。

けれど、トラウマやフラッシュバックについて調べたり、
本を読んだりしながら、

「なぜ、こんな反応が出るのか」
「自分に何が起きているのか」

少しずつ理解していきました。

ただ、フラッシュバックを起こしやすい状態だったため、一度にたくさんの情報を取り込むことはできず、時間はとてもかかりました。

それでも、このプロセスは私にとって不可欠でした。

「自分は本当に大変な中を通ってきたんだ」
「このような症状が出て当然だったんだ」

過去に経験したことが少しずつ理解できるようになり、
頭の中の整理が進んでいきました。

たとえば、
箱に物をぐちゃぐちゃに詰め込むよりも、
きちんと整理して入れたほうが、少ない容量ですみます。

それと同じように、
頭の中も、きちんと理解して収納し直すことで
スペースが生まれました。

それと同時に、いっぱいいっぱいだと感じていた心に、
少しずつ余裕が生まれていきました。

Step3. 「自分を守る」経験をする

言語化と知識の習得が進むと、
自分の状況が少しずつ見えてきました。

それまで私は、
相手に自分の心を差し出しすぎていました。

何をされても相手に寄り添い、
自分さえ我慢すればうまくいくと思っていたのです。

けれど、ある日、
過去の支配関係にあった人々から住所を突き止められる、
という出来事が起こりました。

私はこのとき初めて、
自分を守るための行動を起こしました。
警察に相談したのです。

これは、物理的な安全のためにも不可欠でしたが、
それ以上に、

「私は自分で自分を守ることができる」

という確かな感覚につながりました。

「もうやられっぱなしではない」
「しっかりと境界線を引く」

という自分の意志を自分で再確認し、
自分を大切にするということがどういうことかを、
具体的に体験することができたのです。

この経験は、回復にとって大きな追い風となりました。

Step4. 世界を広げる

この段階に来るまで、かなり時間がかかりましたが、
ようやく私は外の世界に目を向け、
情報を受け取れるだけの余力が出てきました。

それまでは、過去の出来事の処理や心の整理で、生活がいっぱいでした。

けれど、少しずつトラウマとは関係のない世界にも目が向くようになったのです。

それは、頭の中に外の世界を受け入れられるだけのスペースが生まれたり、自分で自分を守れるという自信がついたからかもしれません。

様々な分野の本を読んだり、
たくさんの人と話したり、
旅行に出かけたり。

そうする中で、

世界には色々な人がいて、
人の数だけ考え方があり、
多種多様な文化や価値観がある

ということを知りました。

世界観が広がるにつれ、
自分の抱えている問題も、

「自分にとっての全て」ではなく、
「大きな世界の一部」

だと感じられるようになりました。

この感覚は、回復を大きく助けてくれました。

トラウマとなった出来事は、
確かに私の人生を揺るがす大きな出来事ではありました。

けれどいつの間にか、トラウマのリアルさは薄れ、
色あざやかな3D映像が、2Dのモノクロ映像となり、
「単なる過去の思い出の一つ」に変化していきました。

⚫︎ 生活の中にゆるい運動を取り入れる

体に関しては、ランニングや激しい運動よりも、
ヨガやお散歩など、

ゆっくり体を動かすこと

を意識していました。
鍛えるというより、止まっていたものを少し動かすという感覚でした。

⚫︎ 私には合わなかった方法

一般的に回復に役立つとされる方法でも、
私にはあまり効果を感じられないものもありました。

たとえば、アロマの香りを嗅ぐこと。

感覚が過敏だった時期には、
少しの香りもキツく不快に感じられ、
脳がキャパオーバーになってしまいました。

また、深呼吸や腹式呼吸。
私の場合は、過呼吸を誘発してしまいました。

もし呼吸に意識を向けるなら、ヨガやお散歩などで
体を一緒に動かすほうが合っていました。

合う合わないは、人によって様々です。

これは、良い・悪いではなく、
その人の状態や特性によるものなのではないかと感じます。

🌱最後に

今振り返ると、回復とは、

「正しい方法を見つけること」

ではなく、

「自分に合う方法を探していくこと」

だったように思います。

心地よくないと感じたら、
無理に続けなくてもいいと思っています。

効果がないと感じても、それは失敗ではありません。

その段階では、まだ必要ではなかったのかもしれないし、
ただ合わなかっただけかもしれません。

回復には、それぞれの方法やペースがあると感じています。

私は数年かけて、ようやく心の中が、
「きちんと片付けられたお部屋」のようになりました。
あるべきものが、あるべきところにある状態。

これからは、その片付いたお部屋に、
自分の大切にしたいものを
少しずつ揃えていきたいと思っています。

🌷 このブログについて

このブログ Slowly Surely は、
トラウマ体験や支配的な環境を離れたあと、
心の回復をゆっくりと辿っている
ひとりの当事者としての記録です。

同じような経験をされた方が、
「自分だけじゃない」
と、感じられる場所でありたいと思っています。